観測成果

ヒクソン・コンパクト銀河群40

1999年1月28日


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【観測条件】
天 体 名:ヒクソン・コンパクト銀河群40
使用望遠鏡:すばる望遠鏡 (有効口径8.2m)、カセグレン焦点
使用観測装置:CISCO (近赤外線カメラ)
フィルター:Jバンド (1.25ミクロン)、K'バンド (2.15ミクロン)
カラー合成:青 (Jバンド)、緑 ([Jバンド+K'バンド]/2)、赤 (K'バンド)
観 測 日 時:世界時1999年1月14日 (Jバンド)、1月12日 (K'バンド)
露 出 時 間:480秒 (Jバンド)、480秒 (K'バンド)
視   野:1.9 分角×2.9分角
画   像の向き:北が上、東が左
位置:赤経 (J2000.0)=9時36分24.1秒、赤緯 (J2000.0)=-4度37分39秒 (うみへび座)

【説 明】
 銀河は宇宙の中で単独で存在することはむしろ珍しく、群れ集まる傾向がある。ふたつの銀河からなる系を連銀河、三つ以上数十個程度までの集団を銀河群、数十個以上の巨大集団を銀河団と呼ぶ。銀河群の中には、通常のものに比べて極端に小さな領域に数個の銀河がふれあわんばかりに密集している「コンパクト銀河群」と呼ばれる種類のものがある。

 この画像に示されているのはうみへび座にあるコンパクト銀河群HCG40で、距離は約3億光年。ヒクソン(Hickson)によって作られたコンパクト銀河群のカタログの40番目にあることからこの名前で呼ばれる。画像で上から順に、渦巻き銀河、楕円銀河、二つの渦巻き銀河、レンズ状(S0)銀河の5個の主要メンバーが、互いにふれあわんばかりにはっきり見えている。

 コンパクト銀河群では、互いに近すぎる銀河どうしの遭遇が頻繁に起こる。実際、ここに見られる三つの渦巻き銀河すべてに、互いの重力でひきあうために生じる潮汐相互作用の痕跡が認められる。一番下のS0銀河の中心部も特異な様相を見せている。コンピュータシミュレーションによると、コンパクト銀河群では、重力相互作用により、宇宙年齢に比べてはるかに短い時間で、メンバー銀河どうしが衝突合体し1-2個の大きな銀河ができる。HCG40でもそのような進化の過程の1ショットが見えているのであろう。 画面で青白いふたつの点は、手前にある我々の銀河系の星。赤い小さなたくさんの斑点のようなものは、すべて十から数十億光年遠方の銀河であり、宇宙膨張によるドップラー効果のために、HCG40の銀河よりも赤っぽく見えている。

 

 

 

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