観測成果

2010年

すばる望遠鏡、大きく傾いた軌道を持つ惑星系を次々に発見
すばる望遠鏡、大きく傾いた軌道を持つ惑星系を次々に発見
2010年12月20日

 東京大学、国立天文台を中心とした研究者からなる研究グループは、HAT-P-11、XO-4 という二つの太陽系外惑星系に対して恒星の自転軸と惑星の公転軸の関係を測定し、それぞれの系で惑星の公転軌道が大きく傾いているという証拠を発見しました。特に HAT-P-11 は、木星型惑星より一回り小さな海王星サイズの惑星を持つ系で、このように小さな惑星に対して二つの軸の関係を測定したのは今回が初めての事です。これらの最新の観測によって、傾いた軌道を持つ惑星は意外とありふれている事が次第に明らかになってきました。

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すばるの新しい眼、ファイバー多天体分光器 FMOS
すばるの新しい眼、ファイバー多天体分光器 FMOS
2010年11月19日

 国立天文台ハワイ観測所他の研究者からなる国際チームは、すばる望遠鏡第二期共同利用観測装置であるファイバー多天体分光器 FMOS の試験観測を行い、ピエゾ素子を用いたファイバー位置制御装置により、約 15 分という短時間に 400 本ものファイバーを焦点面でそれぞれ 10 マイクロメートル以下の精度で配置できることを実証しました。また、J バンド、H バンドともに約 20 等級の天体の分光データを1時間の露出時間で取得できるという性能を達成していることを確認しました。

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すばる望遠鏡、かみのけ座銀河団に広がった電離水素ガス雲を多数発見
すばる望遠鏡、かみのけ座銀河団に広がった電離水素ガス雲を多数発見
2010年11月9日

 国立天文台、東京大学、広島大学などの研究者からなるチームは、すばる望遠鏡主焦点カメラ (Suprime-Cam) を用いた観測により、かみのけ座銀河団には広がった電離水素ガス雲を伴った銀河が 14 個も存在することを明らかにしました。一つの銀河団から多くの電離水素ガス雲を伴った銀河を見つけ、銀河の性質や空間分布、速度分布を明らかにしたのはこの研究が初めてです。この発見は、銀河団における銀河の進化の現場をとらえた重要な研究成果となります。

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すばる望遠鏡が捉えたハートレイ彗星
すばる望遠鏡が捉えたハートレイ彗星
2010年10月21日

 地球に接近中のハートレイ彗星 (103P/Hartley) の姿を、すばる望遠鏡に搭載された Suprime-Cam (主焦点カメラ) が捉えました。今夏3ヶ月に及ぶすばる望遠鏡改修後の性能試験の一環として、2010年9月17日23時頃 (ハワイ時間) に撮影された画像です。モニターに映し出された画像を見て彗星が尾を引いていることを確認したときには、観測メンバー皆が感嘆の声を上げていました。

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オリオン座の暗黒星雲に、多数の新たなハービッグ・ハロー放出現象を発見
オリオン座の暗黒星雲に、多数の新たなハービッグ・ハロー放出現象を発見
2010年9月22日

 ハワイ大学マノア校のライパース教授率いる研究チームは、すばる望遠鏡主焦点カメラ(Suprime-Cam)を用いて、オリオン星雲の少し南に位置する巨大分子雲 Lynds 1641 の観測を行いました。盛んに星が生まれているこの領域を高解像度で暗い天体まで撮影することに成功したのです。
 ハービッグ・ハロー天体とは、星形成領域内に斑点のように見られる淡い星雲状のものですが、この領域に多くの明るいハービッグ・ハロー天体がみつかりました。ハービッグ・ハロー天体が明るく見えるのは、新しく生まれた星からの超音速で放出される物質が周囲の星間物質を通り抜けるときに発生する、強い衝撃波によるものです。

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すばる望遠鏡 謎のダークガンマ線バーストの正体に迫る
すばる望遠鏡 謎のダークガンマ線バーストの正体に迫る
2010年7月20日

 京都大学、東京工業大学、国立天文台他の研究者からなるチームは、すばる望遠鏡を用いて、2008年3月25日に発生したダークガンマ線バーストとよばれるタイプのガンマ線バーストの観測を行いました。その結果、このバーストが、これまでにガンマ線バーストが見られた銀河のうち、最も重い銀河で起きたことを発見しました。また、このガンマ線バーストは、塵による吸収が非常に大きな場所で起こったものであることもわかりました。これらの発見は、このガンマ線バーストが、塵を作るような重元素が多い環境で起こった可能性が高いことを示しています。これは、「ガンマ線バーストは重元素量がたいへん少ない大質量単独星の最期の大爆発に伴う現象である」という従来の考え方とは大きく異なっており、これまでほとんど研究の進んでいなかったダークガンマ線バーストが別のメカニズムで爆発している、という可能性を示唆します。従って今回の結果は様々なガンマ線バーストの起源を知る上で重要な手掛かりになります。

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あかり+すばる+スピッツァー、連係プレーで惑星誕生の謎に迫る
あかり+すばる+スピッツァー、連係プレーで惑星誕生の謎に迫る
2010年6月17日

 宇宙航空研究開発機構および東京大学の研究者を中心とする研究チームは、赤外線天文衛星「あかり」やすばる望遠鏡など3つの望遠鏡を駆使した赤外線観測から、極めて活発な惑星系形成活動が HD 165014 という星で進行している可能性があることを発見しました。この星の周囲では、惑星の材料である微惑星同士が衝突することで、多量の塵がまき散らされているようです。さらに、観測で得られたスペクトルから、まき散らされている塵が主に結晶質のケイ酸塩鉱物でできているということを特定することも出来ました。3望遠鏡の連係プレーによって惑星系形成の鍵をにぎる重要な天体が新たに一つ見つかったことで、今後、惑星系の生い立ち・太陽系の歴史のさらなる解明につながると期待されます。

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すばる望遠鏡で「はやぶさ」の撮影成功!
すばる望遠鏡で「はやぶさ」の撮影成功!
2010年6月13日

 2010年6月13日22時51分 (日本時間) 頃、大気圏突入が予定されていた「はやぶさ」を、すばる望遠鏡ではその約8時間前に捉えることができました。薄明の残る西の低い空の西北西側を、高い高度角から地平線に向かって飛び去って行きました。撮影されたとき、秒速 12 km で移動するはやぶさは地球から約 17 万 km の距離 (参考:地球ー月の間は約38 万 km) にありました。



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百億光年の彼方に成長しきった銀河
百億光年の彼方に成長しきった銀河
2010年5月21日

 フランス原子力庁基礎研究部門に所属する小野寺仁人研究員が率いる国際研究チームは、すばる望遠鏡を用いて、非常に遠くにあり、きわめて明るい大質量楕円銀河の赤外線スペクトルを取得しました。この銀河からの光は、現在の宇宙年齢の4分の1の時代に発せられ、100 億年かかって地球に到達しました。奇妙なことに、そして、これまでのいくつかの研究結果とは反対に、この 100 億年前の宇宙で発見された銀河は、現在の宇宙に存在する楕円銀河と呼ばれる種族にたいへんよくていました。この研究によって、これまで知られていた 100 億年の間に 100 倍も体積を増加させる楕円銀河が存在する一方、なぜ宇宙の初期に十分に成長した楕円銀河がすでに存在するのかという謎がさらに深まることになりました。

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ついに発見、「軽い」超新星 -星の標準理論の検証-
ついに発見、「軽い」超新星 -星の標準理論の検証-
2010年5月19日

 広島大学および東京大学の研究者を中心とする研究グループが、山形市在住の著名な超新星捜索者により楕円銀河に発見された奇妙な超新星 SN2005cz に対して、すばる望遠鏡などを用いた観測を行いました。詳細な分析の結果、この超新星は超新星爆発によって生涯を終える星の中で最も軽く、太陽の 10 倍程度の重さを持っていたことを突き止めました。そのような超新星爆発は理論的には予測されており、かつ宇宙で発生する超新星爆発の多くを占めるはずですが、現在まで観測例がありませんでした。これは他の種類の超新星爆発に比べてもともと暗い上に、急激に暗くなってしまうためとも考えられます。本研究によりその性質が明らかになったことで星の進化理論の検証が大きく前進し、超新星が宇宙の進化に与えた影響を研究するうえでも重要な手掛かりを与えました。

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見えない光で発見!96 億年前の巨大銀河の集団
見えない光で発見!96億年前の巨大銀河の集団
2010年5月9日

 数物連携宇宙研究機構とドイツ・マックスプランク研究所の研究者を中心とする研究チームが、96 億年前の宇宙に銀河集団を発見しました。現在までに知られている最も遠くの銀河集団であり、X線および赤外線観測という、いずれも目に見えない光を有効に利用して発見がなされたのです。銀河の色・形は銀河の住む場所によって変わることが知られていますが、その明確な原因はまだわかっておらず、今回の観測から少なくとも 96 億年前に既にこのような偏りがあることが判明しました。宇宙の歴史をさらに遡る努力が続けられています。

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すばる望遠鏡が捉えた暗黒物質分布の「ゆがみ」
すばる望遠鏡が捉えた暗黒物質分布の「ゆがみ」
2010年4月26日

 国立天文台、東京大学、台湾中央研究院などからなる国際研究チームは、すばる望遠鏡主焦点カメラで撮影された約 20 個の銀河団の画像を解析し、特に重力レンズ効果を利用することで銀河団中の暗黒物質(ダークマター)の空間分布の精密な測定を行いました。その結果、暗黒物質が密集した領域である銀河団において、暗黒物質の空間分布が単純な球状ではなく、大幅に「ゆがんだ」扁平な楕円状の分布をしている証拠を初めて得ることに成功しました。このような暗黒物質分布のゆがみは標準的な暗黒物質の構造形成理論モデルで予言されており、今回の結果はその理論予言の初の直接検証となるだけでなく、未だ正体不明の暗黒物質の解明へ向けた一つの手がかりとなる成果です。

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渦巻銀河M81の淡い外部構造に記された銀河形成史
渦巻銀河M81の淡い外部構造に記された銀河形成史
2010年3月18日

 すばる望遠鏡主焦点カメラを用いた観測により、1200 万光年の距離にある渦巻銀河 M81 の周辺に分布する星が一つひとつ写し出され、銀河の外部領域の構造が初めて明らかになりました。その結果、この銀河の外部領域は、銀河系のものに比べると数倍も明るく、重元素量も高いことがわかりました。これは一見銀河系と似たように見える渦巻銀河であっても、その形成の歴史は多様であり、外部領域 がその理解のための鍵を握っていることを示しています。

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アンドロメダ銀河ハローに新しい恒星ストリームを発見 ~矮小銀河合体による銀河形成の痕跡~
アンドロメダ銀河ハローに新しい恒星ストリームを発見 ~矮小銀河合体による銀河形成の痕跡~
2010年1月15日

 東北大学、東京大学、国立天文台、カリフォルニア大学などの研究者からなる国際研究チームは、アンドロメダ銀河のハローとよばれる銀河円盤を囲む領域に、かつての矮小銀河合体の痕跡と思われる恒星ストリームをすばる望遠鏡とケック望遠鏡の観測によって発見し、恒星ストリームの詳しい空間構造と速度分布を同定することに成功しました。

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