観測成果

2007年 : 科学的成果報告 (英語)

すばる望遠鏡が捉えた110億年前の銀河の「骨組み」
すばる望遠鏡が捉えた110億年前の銀河の「骨組み」
2007年12月18日
国立天文台、東京大学、京都大学の研究者からなるグループは、すばる望遠鏡の補償光学システム (AO) と近赤外線撮像分光装置 (IRCS) を用いて、110億年前の銀河の赤外線での高い空間分解能の撮像観測を行いました。補償光学システムを用いて地球大気の揺らぎの影響を抑えることにより、赤外線での高い空間分解能の観測が可能になり、110億年前の銀河の「骨組み」を世界で初めて捉えることに成功しました。この観測により110億年前の宇宙には円盤銀河に似た銀河が多く、楕円銀河がほとんどなかったことが明らかになりました。
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すばる望遠鏡が NASA のディープ・インパクトに再び協力
すばる望遠鏡が NASA のディープインパクトに再び協力
2007年12月14日

NASA のディープインパクト・ミッションは、インパクターと呼ばれる探査機の一部を2005年7月に Tempel 1 彗星の本体へ衝突させ、内部物質の調査を行いました (参照:すばる望遠鏡のこれまでの観測協力)。いまも太陽系空間を回り続ける探査機本体は、この先 Boethin 彗星へ接近が可能と考えられたものの、同彗星は見失われている状況です。ハワイ大学やハワイ観測所などの研究者らは、すばる望遠鏡をはじめとする世界中の大型望遠鏡を用いて Boethin 彗星を探索しましたが、その暗さのため再発見には至りませんでした。現在、延長ミッションを意味する EPOXI に名称は変更され、探査機本体は新たに Hartley 2 彗星へと向かうことになります。

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年老いても心は若い小人銀河 LeoII
年老いても心は若い小人銀河 LeoII
2007年11月28日
国立天文台、東京大学などの研究チームが地球に最も近い銀河の1つであるLeoIIをすばる主焦点カメラで観測し、この銀河がこれまで見えていた範囲よりずっと大きな広がりを持っていることを明らかにしました。またこの銀河を構成する星の分布を詳細に見ることで Leo II における現在までの星形成の歴史がわかるようになってきました。
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おうし座の若い連星から噴き出すジェットを発見 ─すばる望遠鏡で捉えた生まれたての星の姿─
おうし座の若い連星から噴き出すジェットを発見 ─すばる望遠鏡で捉えた生まれたての星の姿─
2007年9月25日
神戸大学や国立天文台などの研究者らは、すばる望遠鏡のコロナグラフ撮像装置を 用いた研究により、おうし座にある若い連星からジェットが噴き出している ことを発見しました。星の約半数以上は、連星として誕生することが知られています。 生まれたばかりの若い星のうち、特に単独星 にはガスが噴き出す「ジェット」現象が見られますが、連星の場合、周りの構造が複雑なためその様相は明確でありません。研究者らは今回、おうし座XZ星の連星の主星から噴き出すジェットを初めて発見しました。 これまでに、ハッブル宇宙望遠鏡の観測から伴星からもジェットが出ていることがわかっています。 本成果は主星と伴星の両方が星周円盤を伴っていることを示唆しており、 どちらの円盤からも惑星が誕生する可能性が考えられます。
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流星が切り裂く大気のトンネルは幅数ミリメートル! ~すばるによる画像から初の測定に成功
流星が切り裂く大気のトンネルは幅数ミリメートル! ~すばるによる画像から初の測定に成功
2007年9月10日
すばる望遠鏡の観測画像に写った散在流星を、国立天文台、東京大学、宇宙航空研究開発機構、電気通信大学、理化学研究所、長野工業高等専門学校の研究グループが解析した結果、典型的な流星の発光領域は、直径わずかに数ミリメートルであることが突き止められました。流星の発光領域の大きさはこれまでの観測で1メートル以下との上限が求められていましたが、具体的にサイズを求めたのは世界でも初めてです。
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すばる望遠鏡、太陽系外惑星の公転軸傾斜角の測定に成功
すばる望遠鏡、太陽系外惑星の公転軸傾斜角の測定に成功
2007年8月23日
東京大学の研究者を中心とする日米共同チーム(東京大学、JAXA宇宙科学研究本部、東京工業大学、国立天文台、東北大学、マサチューセッツ工科大学、プリンストン大学)は、こと座の方向およそ500光年の距離にある太陽系外惑星系TrES-1の観測を行い、主星の自転軸と惑星の公転軸の関係を測定することに成功しました。二つの軸の関係を調べることは、多様な惑星系の存在を説明するために提案されている惑星形成のモデルに制限を与えるものです。今回の観測は、世界で3例目の測定例であるとともに、これまでで最も暗いターゲットでの成功例であり、今後の観測研究に道をひらくものです。
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すばる望遠鏡、ホット・ジュピターへ進化しつつある系外惑星を発見
すばる望遠鏡、ホット・ジュピターへ進化しつつある系外惑星を発見
2007年8月16日
東工大、神戸大、東海大、国立天文台、サンフランシスコ州立大などからなる研究グループは、すばる望遠鏡とケック望遠鏡を用いた共同観測により、カシオペア座の D17156 という恒星の周りに木星の3倍の質量をもつ惑星を発見しました。これは、すばる望遠鏡で見つけた2つ目の系外惑星です。この惑星は軌道長半径が小さな割に軌道が大きく楕円にゆがんでいて、ホット・ジュピター (短周期の系外惑星) に進化しつつある惑星ではないかと考えられます。
 
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銀河系外の星にアクチノイド元素トリウムを初検出
銀河系外の星にアクチノイド元素トリウムを初検出
2007年6月25日
国立天文台と大阪教育大学の研究グループは、約22万光年の距離にある「こぐま座矮小銀河」の赤色巨星においてトリウムを検出し、組成を測定することに成功しました。これは銀河系外においてアクチノイド元素を測定した初めての例で、爆発的な重元素合成が、銀河系内の星の場合にみられるのと同じく、極めてよく似た環境で起こっていることが示されました。
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彗星の内部構造、初めて解明
彗星の内部構造、初めて解明
2007年5月19日
彗星核は原始太陽系星雲の状態に関する重要な情報を持っていると信じられています.しかし,その構造に関する観測的なデータはほとんどありませんでした.大阪大学、東京大学、国立天文台などからなる研究チームは,NASA の Deep Impact 探査におけるインパクターと彗星の衝突によって放出された物質の空間分布をすばる望遠鏡を使って観測して,テンペル第一彗星の内部構造を世界で初めて示しました.彗星核には厚さ数十cmの非常に小さい (1ミクロン以下) 炭素質物質を含んだ表層が存在しました.また,テンペル第一彗星が表面から数十cmより深い所に,太陽系外縁領域 (trans Neptunian region) に居た当時から変成を受けていない物質が存在していることも示唆されました。
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見えてきた、50個以上に分裂した微小な彗星核
見えてきた、50個以上に分裂した微小な彗星核
2007年4月24日
国立天文台ハワイ観測所の布施哲治研究員を中心とする研究チームは、すばる望遠鏡を用いて地球へ接近したシュヴァスマン・ヴァハマン第3彗星の本体 (核)が崩れていく様子の撮影に成功、分裂後、間もない13個の微小核が写る画像を2006年5月に速報として発表しています。引き続いて行われた本格的な画像解析により、観測データには前回報告の13個を含む50個以上もの分裂核が写っていることが今回明らかになりました。本成果は、2007年4月25日発行の日本天文学会欧文研究報告誌に掲載されます。
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虚空に浮かぶ超新星残骸:すばる主焦点カメラが捉えた かに星雲の変容
虚空に浮かぶ超新星残骸:すばる主焦点カメラが捉えた かに星雲の変容
2007年3月12日
かに星雲 (メシエ1) は、冬の暗い夜空を彩る代表的な天体です。地球からの距離は約7200光年、大きさは約10光年あります。今からおよそ1000年前の1054年に起こった超新星爆発の残骸です。日本では、藤原定家の書いた日記「明月記」にもその現象が残されています。それを現代語に訳すと、「毎夜、午前二時過ぎになると東の空に見なれぬ星が現れ、牡牛座ツェータ星のあたり、明るさは木星ほどである」 (「かに星雲の話」より引用)。また、アメリカ・アリゾナ州のホワイト・メサとナヴォホ-・キャニオンにあるネイティブアメリカン達によって描かれた壁画が、この超新星だったという説があります。
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すばる、銀河からまっすぐにのびる謎の水素ガス雲を発見
すばる、銀河からまっすぐにのびる謎の水素ガス雲を発見
2007年3月5日
 
国立天文台と東京大学の研究者がすばる主焦点カメラを用いて行った研究により、我々からおよそ3億光年離れたかみのけ座銀河団に属する銀河 の一つ (D100) から、水素の電離ガスが細くまっすぐに伸びていることを発見しました。この電離水素ガス雲は約20万光年もの長さに渡って伸びており、我々の銀河系と大マゼラン星雲との距離に匹敵する長さになっています。また、その細さ (約6000光年) も大きな特徴で、このような細長い構造を持つ電離水素ガス雲が宇宙に存在することを本研究グループが世界に先駆けて発見しました。
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すすむ連星系の惑星探査,伴星の撮影にまず成功
すすむ連星系の惑星探査,伴星の撮影にまず成功
2007年2月13日
ドイツ、日本(名古屋大学)とアメリカの研究者からなるチームは、惑星を持つ星、ケフェウス座ガンマ星のまわりを回るもうひとつの恒星を、直接とらえることに成功しました。この結果はまず、すばる望遠鏡の 補償光学装置を用いて得られ、続いてスペインのカラー・アルト天文台でも確認されました。惑星に重力的に影響を及ぼしている星の位置と明るさが判明し、2個の恒星の質量や、惑星の最小質量などが精度良く決定されました。
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宇宙の暗黒物質の空間分布を初めて測定 ─ “ダークマターの中で銀河が育つ”銀河形成論を観測的に検証
宇宙の暗黒物質の空間分布を初めて測定
2007年1月7日
ハッブル宇宙望遠鏡の基幹プログラムであるCOSMOSプロジェクト (Cosmic Evolution Survey:宇宙進化サーベイ) では、宇宙の大規模構造の起源を探るために、ろくぶんぎ座方向にある2平方度の視野の天域をハッブル宇宙望遠鏡の高性能サーベイカメラで撮像観測を行いました0.05秒角の分解能で約50万個の銀河の形態を詳細に調べ、「重力レンズ効果」と呼ばれる手法を用いて、視野内のダークマターの様子を調べました。また、すばる望遠鏡などの測光データを用いて、50万個の銀河の距離も測定しました。その結果、宇宙の大規模構造を作る「暗黒物質(ダークマター)」の空間分布を世界で初めて明らかにすることができました。そして、暗黒物質の中に銀河の集団が存在していることも突きとめました。この結果、暗黒物質に導かれて、銀河が形成され進化するシナリオが観測的に検証されました。
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