安全な職場作りのために.

危険物への対処:有害物質(化学薬品・有機溶剤など)から身を守る.

Version July 2002

自分自身がそうした物質を取り扱わなくとも,職場で化学災害に巻き込まれる可能性があります(炭疽菌Anthraxなど).そうしたケース(化学薬品Chemicals,有機溶剤Solvents)へのもっとも基本的なレベルでの対処について述べます.

危険物としては他にレーザー,冷媒,圧縮ガス,クレーンやチェリーピッカーなどの重機操作,などがありますが,それぞれ,すばるのホームページ等に情報があるはずですのでご参照下さい.また,特に炭疽菌Anthrax関係の注意については,事務室のホームページをご覧下さい.

その1:まず避難を!  職場での化学災害に対する対処の4段階.

その2:有害物の取り扱い・管理の基本 これがミニマム


職場での化学災害に対する対処の4段階.

0.ハワイ観測所にはいろいろな有害物があることを理解しておく.

それらの保管・取り扱いなどについて記述した文書がMSDS(Material Safety Data Sheet,製品安全情報シート)で,山麓・山頂の合計4箇所にマスターリストがある.新たな薬品等の購入の際には,その担当者・使用者・購入者が該当するMSDSを入手し,保管方法などにつきあらかじめ必要な処置を講じておかなければならない.また全ての薬品類には,少なくとも英文での内容表示をする(日本から持ち込んだ物で日本語表記しか無い物は,手書きでもいいから内容物の英文表記をしておく).注1.2.参照.

化学薬品の例:エチルアルコール,アセトン,塩酸,アセチレン. 

 

1.Recognize the hazard 危険の認識.

臭い・煙・高温・白い粉など何らかの異常や危険を感じたら・・・・危険物の大量の漏洩のような化学災害があったという前提で次の行動を取る.臭いのきつい物は,時によっては濃度が高くなるほど嗅覚をマヒさせる可能性がある.そのため臭いを感じなくなったからと言って,危険がなくなったとは限らない.

 

2.Evacuate the affected area まず避難する.

その原因物質から遠ざかる.処理方法を熟知しているのでなければ,近寄ったり,何らかの手を打ったりしようとしない.直ちに室外ないし屋外に避難する.近くにいる同僚にも危険を知らせて,避難を呼びかけながら.避難後,所定の集合場所に行くこと(行方不明者の同定をするので).

 

3.Isolate the affected area 危険区域の隔離.

安全と思われるところに来たら,そこから他の人が中に入らないようにする.場合によるが,自分が出てきた部屋や建物の扉を閉め切って,危険物の外への漏洩を防ぐ.

 

4.Notify the relevant people/organization しかるべき人・機関に連絡をする.

実験室担当のスタッフであるかもしれないし,911への電話となるかもしれない.とにかく事態を把握できそうな人に連絡をする.


注1.有害物質の認識について.

有害物質の認識について.

・名称がまず第1の手がかり(容器に必ず表示されている・・・はず)

・ラベル:人体への危険(毒性),火災の危険性(引火性),強い反応性(爆発性),特記事項(放射性など)

・容器の破損には厳重な注意が必要.納品時にご注意を!混在にも注意.

・有害物質の情報は,MSDS製品安全データシートに記述があり,ハワイ観測所では次の4カ所にマスター・バインダーあり.山麓では事務室・2階のスタッフラウンジ,山頂では観測室前の廊下とドーム1階の鏡面洗浄エリア近く.実験室には個別のバインダーもある.

ラベルの数字が大きいほど危険度が高く,容器の破損には厳重な注意が必要となります.当然,保管にも注意が必要で,単独では危険性が低いものでも,特定の物と混在すると極めて危険になるものもあります.危険度の高いものについては,一刻も早く担当者・購入者が適切な保管庫に収納する責任があります.


注2.米国での有害物質取り締まりは3つの政府組織が管轄しています.

それぞれが時と場合に応じて,適切な表示をするよう義務づけています.つまり同じ薬品でも輸送時にはDOTの基準に従った表示をし,実験室などでの使用・保管中にはOSHAの規制に従って別のラベルを付けるなどして管理し,廃棄時にはEPAの規制に従う.


原版作成 林 左絵子