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ハワイ観測所研究員 福江 翼さんが井上研究奨励賞を受賞

2011年2月17日

写真: 福江 翼さん (2011年2月撮影)

 2011年2月、ハワイ観測所研究員の福江翼さんが第 27 回井上研究奨励賞を受賞されました。この賞は、過去3年の間に、自然科学の分野で博士の学位を取得した 35 歳未満の研究者であって、新しい領域を開拓する可能性のある優れた博士論文を提出した研究者に贈呈されます。全国でわずか 30 人が受賞できます。福江さんが京都大学に提出した博士論文は「星惑星形成領域の偏光研究」というテーマでした。

 今回の授賞について福江さんは次のように話しています。

「私は、星や惑星、そして生命が宇宙のどのような環境で、どういった物質から誕生し、進化していくのかについて研究しています。若い星や惑星の周囲にはたくさんの塵などが漂っていて、塵が光を散乱する際に、光の振動に『偏光』という特徴的な影響を残します。博士論文においてはとくに、こういった偏光という性質に着目して、理論と観測の両面から研究をまとめました。生命の起源や宇宙生物学 (アストロバイオロジー) の観点でも議論を展開しています。」

「まず観測面ではオリオン大星雲において、円偏光と呼ばれる特殊な光が太陽系の大きさの 400 倍以上にもわたって広がっていることを発見しました。太陽系においても、原始太陽系円盤の時期にこのような円偏光にさらされたため、地球上の生命の素となるアミノ酸の型が偏ったと思われます。また、このような円偏光がどのように生じているのかについても調べました。このたびの受賞は、偏光の理論研究やイメージング観測、宇宙生物学といった新しい分野の研究に対してたいへん大きな励みになり、本当に感謝しております。」

 福江さんは2009年からハワイ観測所研究員として国立天文台本部にて勤務、2010年4月には「宇宙の特殊な光から地球上の生命の起源に新知見」という記者発表を行うなど若手研究者として活躍中で、『生命は、宇宙のどこで生まれたのか』 (祥伝社新書 229, 2011年2月) という著書も出版しています。「研究を進める上で、今まで多くの方々に支えて頂きました。引き続き努力を重ねて参りますので今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。」と抱負を語っています。現在推進中の研究など、詳しくは下記の福江さんのウェブサイトをご覧下さい。

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