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主鏡の清掃"CO2クリーニング"
2000年2月10日
すばる望遠鏡があるマウナケアは、すでに火山活動が停止した山です。山頂は、赤茶けた火山れきや火山灰で覆われており、また強い風が常に吹いています。この風のために細かな火山灰が舞い上がり、夜ドームを開けて観測するすばる望遠鏡の主鏡は火山灰で汚れてしまいます。
マウナケア山頂の風景
精度の高い観測を目指しているすばる望遠鏡にとり、この主鏡の汚れは大敵です。ところが、望遠鏡から口径 8.3m (有効口径8.2m) の主鏡をたびたび取り外して掃除することはとても大変な作業です。そこで主鏡をすばる望遠鏡に取り付けたまま、ほこりを取り除く方法がいくつか考え出されました:
- 水により洗い流す方法
- 圧縮空気により吹き飛ばす方法
- 紫外線レーザー光線により焼き払う方法
- 二酸化炭素 (CO2) により払い落とす方法
作業量や効率の点から、採用された方法は、二酸化炭素により払い落とす方法です。先の細いノズルから液体の二酸化炭素(-56.6℃)を勢いよく出すと、熱の出入りがない急激な膨張(断熱膨張) をします。その結果、気体の二酸化炭素と固体のドライアイスができ、それらが混じった状態になります。これを主鏡全体に吹き付けると、ドライアイスがほこりをはたき、気体の二酸化炭素によってほこりとドライアイスが主鏡から払い落とされるという仕組みです。この方法をCO2 クリーニングと呼んでいます。
CO2 クリーニングの仕組み
現在CO2 クリーニングは月に一度の割合で行われています。8回目の CO2 クリーニングが2月4日に行われ、清掃の結果はきわめて良好でした。次は2000年3月上旬に予定されています。
CO2 クリーニング中のすばる望遠鏡の主鏡