観測成果

すばる望遠鏡の新しい眼 - 世界最高感度の CCD を搭載 -

2008年11月20日

  figure1  

  国立天文台の先端技術センターとハワイ観測所、浜松ホトニクス株式会社、京都大学、大阪大学は共同で高感度なセンサー (CCD) の開発に成功し、すばる望遠鏡に取り付けました。試験 観測からは、波長 10000 オングストローム(1オングストロームは 10 -10 メートル)において、 従来の2倍の感度が達成されていることがわかりました。2倍の感度向上は観測者にとって非常に大きな メリットです。波長 10000 オングストローム付近での感度が向上したことにより、ダークエネルギーの研究 など、宇宙で最初に出来た天体の発見といった遠方宇宙の研究、観測天文学の最先端分野に、多大な貢献 をすることが期待されます。新 CCD は性能達成が確認されたため、2008年8月の試験観測直後から一般共同 利用観測で利用されています。

  この新開発 CCD は、可視光 (3600 オングストロームから 8300 オングストローム) から 10000 オングストローム程度の近赤外線波長域だけでなく、10keV 程度以上の高エネルギーX線にも高い感度を 持っており、日本で計画中の次期 X 線天文衛星への搭載が決まっています。さらに、天文学の研究だけでなく、 医療用装置の検出器にも応用の可能性が期待されます。診断に用いられる CT (コンピュータ断層撮影) では、用いる CCD の感度が高ければ、放射線の照射量を少なくでき、診療時の人体への影響をそれだけ小さくできる と考えられるからです。このように新しく開発された CCD は、天文分野の研究に限らず、様々な領域・分野での応用が期待されます。


関連リンク



 

画像等のご利用について

ドキュメント内遷移