観測成果

主焦点カメラで 0.3 秒角の星像サイズを達成

2000年6月22日

 今年暮れから始まる共同利用観測 (注1) を目指して、すばる主焦点カメラ Suprime-Cam による本格的な観測を開始しています。最高で 0.3 秒角の星像サイズ (注2) を達成するなど、主鏡を支える固定点の改修後におけるすばる望遠鏡の性能は、従来と変わらないことが確認されました。

 6 月 3 日、すばる望遠鏡の主焦点に取りつけたすばる主焦点カメラ Suprime-Cam による可視光の観測を行いました。はじめの焦点位置合わせの作業において、星像サイズとして 0.3 秒角 (1 秒角は 1 度の 3600 分の 1) を達成しました。Suprime-Cam 製作の中心的役割を果たし、実際に観測を行った国立天文台の宮崎聡氏は、「星像サイズが 0.3 秒角の画像が得られたときは、思わず身震いをしました」とコメントしています。

 下の画像は、これに続く観測で星像サイズが 0.5 秒角の状態のとき、Suprime-Cam により撮影した渦巻銀河 M63 (NGC 5055) です。その形から「ひまわり銀河」という愛称で呼ばれている M63 は地球から約 2400 万光年離れており、星の形成が盛んに行われています。Suprime-Cam による画像では、きつく巻いている渦の構造や、高温の星に照らされて電離した水素が赤く輝く領域 (HII 領域) がはっきりと写し出されています。なおこの画像は、Suprime-Cam により得られた画像の一部を切り出したものです。




(注1) 共同利用観測とは、全国および世界各国の天文学者から広く観測提案を募り、審査により選ばれた観測を行うことをいいます。

(注2) 星像サイズは、星の像の明るさ分布がピークに対して半分になるところの直径として定義します。一般的に、大気のゆらぎのため星像サイズは近赤外線よりも可視光の方が大きめになります。今回得られた可視光で 0.3 秒角の星像サイズは、昨年 6 月に近赤外線で得られた 0.2 秒角の星像サイズに匹敵するものです。





低解像度画像 (JPEG 115KB)
高解像度画像 (JPEG 663KB)
説明文 (TEXT)
【観測条件】
天 体 名: 渦巻銀河 (M63、NGC 5055)
使用望遠鏡: すばる望遠鏡 (有効口径 8.2m)、主焦点
使用観測装置: Suprime-Cam
フィルター:B (0.45µm)、V (0.55µm)、Hα (0.65µm)
カラー合成: 青 (B)、緑 (V)、赤 (Hα)
観測 日時: 世界時 2000 年 6 月 10 日
露出 時間: 45 秒 (B)、15 秒 (V)、30 秒 (Hα)
視   野: 5.0 分角 × 6.6 分角
画像の向き: 上が北、左が東
位   置: 赤経 (J2000.0) = 13時15分49.1秒、赤緯 (J2000.0) = +42度01分43秒 (りょうけん座)
 

 

 

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