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すばる望遠鏡 20 周年記念国際研究集会を開催

2019年12月26日 (ハワイ現地時間)
最終更新日:2023年9月21日

すばる望遠鏡の科学的ファーストライトから 20 年目にあたる今年、2019年11月17日から11月22日にかけて、すばる望遠鏡の 20 周年を祝う国際研究集会がハワイ島のワイコロアで開催されました。国立天文台の特色ある共同利用成果を広く海外に発信する NAOJ シンポジウムの第5回目と、すばる望遠鏡が主催する国際研究集会シリーズの第7回目、そして2019年度のすばるユーザーズミーティングを兼ねた集会で、世界 14 カ国から 244 名が参加しました。

すばる望遠鏡 20 周年記念国際研究集会を開催 図

図1: 参加者の集合写真。(クレジット:国立天文台)

初日の11月17日(日)を2019年度すばるユーザーズミーティング、翌日から最終日までを国際研究集会とする構成で行われ、観測所報告や大型将来計画、サイエンスの基調講演を行う全体セッションでは口頭講演が 53 件、各研究分野に分かれるサイエンスセッションでは口頭講演 149 件とポスター講演57件と、非常に多くの発表が行われました。本集会はすばる望遠鏡 20 年の多岐にわたる成果を集大成するため、「太陽系」「系外惑星と星形成」「局部銀河群と近傍銀河」「銀河形成」「巨大ブラックホール」「時間軸天文学」分野に加えて、製作中の観測装置 Prime Focus Spectrograph と ULTIMATE を含む「装置とソフトウェア」分野に関わるセッションが開かれました。

すばる望遠鏡 20 周年記念国際研究集会を開催 図2

図2: サイエンスの基調講演の様子。(クレジット:国立天文台)

研究集会1日目は、2019年度のユーザーズミーティングとして、所長をはじめとする観測所関係者による各種報告と、マウナケアの他の観測所の所長による報告、現在すばる望遠鏡で行われている大型観測プログラムの進捗報告が行われました。実はすばるユーザーズミーティングがハワイ島で開かれるのは、第一回目の2000年以来 20 年ぶりです。そのため観測所の保守整備部門や事務部門など日本で行われる例年のミーティングには出席しない所員が多く参加できたことで、すばる望遠鏡を支える所員とユーザーが直接交流する貴重な機会となりました。

すばる望遠鏡 20 周年記念国際研究集会を開催 図3

図3: 議論とポスターセッションの様子。(クレジット:国立天文台)

研究集会2日目と4日目は、TMT や将来の広視野サーベイ計画とすばる望遠鏡との関係や、すばる望遠鏡の将来装置計画についての議論が行われ、欧米の大型将来計画の代表者から、すばる望遠鏡と各計画との親和性の高さと、今後の光赤外天文学におけるすばる望遠鏡の重要性が強調されました。また3日目と5日目、6日目の午前中はサイエンスセッションが行われました。(4つの会場でセッションが同時進行で開かれたので、各セッションのプログラムを確認しながら、目的の講演を聞くために各会場を移動する人も多く見られました。) 最終日6日目の午後には、上で述べた研究分野を代表する6名の著名研究者が基調講演を行いました。基調講演は一般的には研究集会の最初の方に行われますが、今回は、すばる望遠鏡を中心に各分野の歴史を総括して今後の方向性を示す講演を最後にまとめて行うことで、多くの参加者が最終セッションまで参加して、すばる望遠鏡がこの20年間に貢献してきた科学成果と今後の見通しを参加者全員で共有することができました。

すばる望遠鏡 20 周年記念国際研究集会を開催 図4

図4: 閉会の挨拶。(クレジット:国立天文台)

2007年に開催されたすばる国際会議シリーズ第一回から参加人数は大幅に増え、また約半数が日本以外からの参加でした。これはこの 20 年間でのすばるコミュニティの拡大と国際化を反映しています。会場をゆとりのある滞在型大型ホテルにしたことで、休憩中やセッション前後に、参加者同士が自由に議論を行う様子がさまざまな場所で見られたのも特徴です。研究集会全体や開催場所、関連イベントについても、多くの参加者から高い評価の声が寄せられており、すばる望遠鏡の 20 周年を祝う国際研究集会として、大きな成功を収めることができました。今年ですばる望遠鏡は二十歳。人生で言えば、ようやく大人の仲間入りです。さまざまな困難もありますが、これからの 10 年、20 年で、世界的にも期待の大きなプロジェクトが進められていきます。

すばる望遠鏡 20 周年記念国際研究集会を開催 図5

図5: 懇親会とコーヒーブレイクの風景。(クレジット:国立天文台)

本研究集会は、自然科学研究機構国立天文台研究交流委員会 (1901-0303)、国立天文台ハワイ観測所、アストロバイオロジーセンター、カブリ数物連携宇宙研究機構、国立天文台 TMT プロジェクト、富士通株式会社、三菱電機株式会社および科学研究費補助金 (JP15H02069) のサポートを受けて開催されました。

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