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ハワイ観測所スタッフ、オニヅカ・サイエンス・デイで大活躍

2015年4月20日 (ハワイ現地時間)
最終更新日:2023年9月21日

2015年1月24日、ハワイ大学ヒロ校で開催された「オニヅカ・サイエンス・デイ」にハワイ観測所からも職員が参加して、科学・技術に関わる面白さを多くの方々と分かち合いました。ハワイ島出身のエリソン・オニヅカ宇宙飛行士 (注1) が次世代に「自分の道を拓いていこう」と呼びかけていた志を継ごうと小学校高学年から高校生までを対象に開かれてきたイベントですが、今回で15回目になりました。ハワイ観測所からはワークショップと展示に参加を続けて来ています。このようなイベントは、すばる望遠鏡を運用するハワイ観測所を地元の方々に知っていただく貴重な機会です。

ハワイ観測所スタッフ、オニヅカ・サイエンス・デイで大活躍 図

図1: オニヅカ・サイエンス・デイの盛況ぶり。上:すばる望遠鏡で撮影された天体を自分の分類法で識別してみようというワークショップ。下:すばる望遠鏡のブースは大賑わいでした。(クレジット:国立天文台)

今回のオニヅカ・サイエンス・デイでは 18 のワークショップがあり、ハワイ観測所はそのうち2つを開きました。2つとも事前登録であっという間に定員に達していたほどの人気で、参加者は限られた時間で多くのことを学ぼうととても熱心です。1つはすばる望遠鏡で撮影された天体画像をもとに、参加者それぞれに独自の基準を考案して分類するものです。形の違いの原因がなぜだろうと考えながら、身近なものになぞらえてユニークな分類方法を考案していました。もう1つのワークショップは「my望遠鏡」製作です。まず2つのレンズだけを使って遠くのものを拡大して見るという望遠鏡の原理の体験を試みましたが、なかなか方向を合わせられません。しかし筒にはめ込むと向きも焦点も合わせやすくなる。こうした体験から、天体や望遠鏡についての「なるほど」という電球が頭の中に灯ったことでしょう。

大学図書館前では、マウナケアに望遠鏡を置く天文台などがそれぞれデモや展示を行いました。すばる望遠鏡のブースにも多くの人が訪れ、小型望遠鏡をのぞいたり、観測成果や天文台での仕事について職員に問いかけをしてくださったりしました。いつもは望遠鏡、計算機、観測装置などの仕事をしている職員も駆けつけ、お客さんの質問に笑顔で答えていました。国際光年 2015 にちなんだ内容も多かったのは、マウナケア山頂での観測のために光害を少なくする工夫をしているこの島ならではでしょう。

午前の開会イベントでは、JAXA (宇宙航空研究開発機構) 宇宙飛行士の若田光一さんが基調講演を行いました。2013年11月から2014年5月にかけての国際宇宙ステーション長期滞在後半に、コマンダー (船長) として陣頭指揮をとった経験も披露され、参加者の気持ちはもうすっかり宇宙へ。

これに先立つ1月23日、若田さんはオニヅカ宇宙飛行士の弟さんのクロード・オニヅカさんとともに、マウナケア山頂にあるすばる望遠鏡を訪問されました。有本所長の案内のもと、すばる望遠鏡に新しく搭載された HSC を間近に見るなど、望遠鏡に関する仕事の様子を熱心に視察されました。ハワイ観測所の職員にも「お元気で良い仕事をお続け下さい」と声をかけて下さいました。またオニヅカさんは、ハワイ島出身の多くの職員が専門的な知識・技量のもとにハワイ観測所の運用に貢献していることに感銘を受けていました。

ハワイ観測所スタッフ、オニヅカ・サイエンス・デイで大活躍 図2

図2: 左:オニヅカ・サイエンス・デイの昼休み、若田さんのサインを求める参加者の長い行列ができていました。右:主鏡が見えているすばる望遠鏡の前で。左から、ハワイ観測所所長有本信雄さん、JAXA 宇宙飛行士若田光一さん、宇宙飛行士エリソン・オニヅカさんの弟のクロード・オニヅカさんです。(クレジット:国立天文台)

このような催しを通じて、2015年のハワイ地元での有意義な天文普及活動を始めることができました。



(注1) 1986年1月28日、スペースシャトル チャレンジャー号の打ち上げ時の事故で亡くなりました。マウナケア中腹にあるビジターステーションや、コナ空港の施設はこのオニヅカさんの名前を冠しています。

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