2013年12月8日から12日にかけて、太陽系以外の惑星系 (系外惑星系) およびその誕生の現場である原始惑星系円盤に関する研究会が、ハワイ島のコナで開催されました。これは、すばる望遠鏡が主催する国際研究集会としては5回目のもので、ハワイ島での開催は2回目です。
系外惑星は1995年に最初の発見が報じられたことをきっかけに、その理論的・観測的研究が急速に進歩した研究分野です。また、惑星誕生の現場であると考えられている原始惑星系円盤についても、様々な波長、様々なスケールでの研究が進展しています。研究会のタイトル「系外惑星と円盤:それらの進化と多様性その2」のように、まさに多種多様な天体の姿が示されました。
世界各地から約 180 人の研究者が集まりました。口頭発表数は 30 分講演が 29 件、15 分講演が 35 件、そしてポスター発表数が 85 件でしたが、実際の申込みはもっと多く、掲示場所の制限からお断りをしなければならなかったそうです。分野としては観測天文学、理論・シミュレーション天文学、惑星科学にまでわたっていました。
まず1日目は円盤から惑星への進化の道筋に関する議論が行われました。円盤とまとめていますが、実は原始惑星系円盤、遷移期の円盤、そして残骸円盤があります。2日目は、特に撮像観測に関する議論を深めました。3日目には、系外惑星の性質を明らかにする手法や観測装置の議論に進み、4日目にはその中でも地球のような惑星に関してかなり活発な話が飛び交いました。午前8時半から、夜はポスターの前で午後9時過ぎても情報交換。論文だけでは知ることのできない、工夫や苦労の一端も聞くことができました。
大量の系外惑星候補天体を見いだしたケプラー衛星の寄与もあり、地球型惑星の検出、その起原や進化に関する研究が広い範囲で行われるようになってきています。データの共有による理解の広がりは、「3分前に公開された論文によると・・・」といったやりとりがなされるほどの厳しい競争とともに、多波長観測や観測と理論の協力といったことも大事であることを示しています。観測では、すばる望遠鏡、ジェミニ望遠鏡、ハッブル宇宙望遠鏡などがその成果を競い合い、アルマ望遠鏡からはそれらに匹敵する高い解像度の画像が続々と発表され、会場からは感嘆のため息がもれていました。
参加者の一部は5日目に、マウナケア山頂のすばる望遠鏡とサブミリ波干渉計 (SMA) を見学。すばる望遠鏡では系外惑星の観測用に試験が行われつつある SCExAO (スッケックス・エーオー) を前に、かなり熱心な質問がありました。これまでこの分野においては、すばる望遠鏡に搭載されているカメラ HiCIAO (ハイチャオ) が大きくリードしてきました。これから SCExAO のような次世代の観測装置により、新たなアプローチが展開されるはずです。そうした新しい観測の可能性について、参加者から期待の声が聞かれました。
新しい観測成果が上がり、様々なモデルが提案される中、塵から微惑星、そして惑星への成長プロセスの統一的理解に向けて、解決されるべき問題はまだ山ほどあります。地球型惑星の本格的な研究、系外惑星大気の組成や固体成分の解明など、次世代望遠鏡・観測装置への期待もより一層高まっています。
本研究会は、国立天文台ハワイ観測所、および、科学研究費補助金・新学術領域研究 (No. 2302)、および特別推進研究 (No. 22000005) のサポートを受けて開催されました。
http://exoplanets.astron.s.u-tokyo.ac.jp/SubaruConf13/index.html