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すばるは健在です
- 8月2日 NHK ニュースの報道について-

2001年8月1日

国立天文台 台長 海部宣男

国立天文台ハワイ観測所 所長 安藤裕康

 

 日本時間 8 月 2 日付けの NHK ニュースの報道(およびインターネットニュース)は、あたかもすばる望遠鏡で新たなトラブルが発生したかのような誤解を視聴者に与えかねないものとなっていました。実際は、すばる望遠鏡は今も順調に観測を続けており、新たなトラブルの発生はありませんので、ご安心ください。なお8月から10月にかけて観測を休み、各種の作業を行いますが、その内容も含めて以下に事実関係をまとめました。関心のある方はご参照下さるようお願いします。

 平成 12 年 3 月 19 日に、主鏡の裏面に取り付けられている固定点と呼ばれる機器が、主鏡裏面から剥がれる現象が起こりました (平成12年5月12日の発表文)。天体からくる光を集める主鏡の表面ではないため、観測性能への影響はなく、改修作業後も従来と変わらない成果を発表してきております (改修後、最初の成果発表)。

 8 月 8 日より、すばる望遠鏡では、定期的に実施している主鏡表面の再メッキを行います。この工程中、メッキを施す大型装置に主鏡本体を入れるために、主鏡を望遠鏡からはずします。その際、去年 3 月に主鏡裏面の剥離した箇所についても、より安全性の高いシステムに交換する改修を行うことにしております。これらの作業は、いまから1 年以上も前より予定しているものです。

 NHK ニュースの報道は、望遠鏡に新たな不具合が発生し、観測が中断しているとの印象を与えかねない内容になっております。実際には、作業開始の前日まで、通常通りの観測が行われます。なお道中の下記の情報につきましては、事実とは異なります。

○ 主鏡のたわみを補正するコンピュータ制御のアクチュエーターは、報道の「291 本」ではなく、正しくは「261 本」です。
○ 去年 3 月に主鏡裏面から固定点が剥がれたのは、報道の「2 箇所」ではなく、正しくは「1 箇所」です。
○ 映像の後半にあらわれる望遠鏡は すばる望遠鏡ではなく、ケック望遠鏡の映像が誤って使われています。

 NHK ニュース中で、3本の固定式支柱とあるのは固定点、コンピューター制御で動く支柱とあるのはアクチュエーターと呼ばれているものです。

 

 

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