すばる望遠鏡プログラム小委員会(第3回)議事録
日時: 2001年1月27日(土) 午前11時から午後4時 及び
1月28日(日) 午前9時30分から午後4時 (三鷹)
2001年1月26日(金) 午後4時から午後9時 及び
1月27日(土) 午後2時30分から午後9時(ハワイ)
場所: 国立天文台すばる解析棟2階すばるTV会議室(日本)
国立天文台ハワイ観測所104号室(ハワイ)
出席者(敬称略): 岡村定矩、長谷川哲夫、有本信雄、定金晃三、谷口義明、河合誠之、
田村元秀、渡部潤一(以上プログラム小委員会委員)、
安藤裕康、林正彦、山下卓也
(谷口、安藤、林の3名はハワイ観測所で参加。渡部は都合により
初日だけの参加。なお、山下は観測時間割り付けの状況をチェック
するために2日目の後半の一部だけ参加)
安藤ハワイ観測所長より挨拶が述べられ、すばる望遠鏡の共同利用が順調に始まった
ことが報告された。特に以下の点について言及された。
・好天に恵まれたため、ほとんどの観測で有効なデータが取得された。そのため
か、1晩観測に対するユーザーからの不満の声はなかった。サポートサイエン
ティストには大きな負担がかかった。
・ハワイ大学天文学研究所の利用者の方からは、望遠鏡はパーフェクトだが
ソフトウエアがまだ整備されていないという指摘があった。さらにSUPRIME-CAMの
読み出し時間の短縮が望まれる旨の要望があった。
・サポート・サイエンティストと観測者の事前連絡が必ずしも円滑にいかず、
サポート・サイエンティストの過大な負担があるケースがあった。
また、岡村委員長より、今回は議論の時間がさらに十分とれるように2日間の日程で
会議を行うが、今回も前回同様、できるだけ一般的な見地から将来に良い布石を残せる
ように心掛けて会議にのぞむよう、挨拶がなされた。
議事:
1)プログラム公募経過報告:
林よりプログラム公募の経過が報告された。
応募総数は105件(内訳: CISCO - 22件、FOCAS - 27件、HDS - 24件、IRCS -
28件、OHS - 9件)で、総要求夜数は204夜であった。
カテゴリー分けはレフリーの負担を均質化するために、前回のカテゴリー4
(Galaxies &AGN)とカテゴリー5(Cosmology)を細分化し、カテゴリー4A(AGN &
Quasars)、カテゴリー5A(Formation and Evolution of Galaxies)とカテゴリー
5B(Clusters of Galaxies and Cosmology)に細分化した。その結果、カテゴリー
別の応募状況は以下のようになった。
課題数 夜数
・1. Solar System: 8 13
・2. Stars & the Galaxy: 27 51
・3. Star Formation & ISM: 7 13
・4A. AGN & Quasars: 18 29
・5A. Evo. & Form. of Galaxies: 23 48
・5B. Cl. of Galaxies & Cosmo: 22 50
これに伴い、カテゴリー4A、5A、及び5Bのレフリーの一部を改選及び追加した。
プログラムの審議に先立ち、岡村委員長から下記の確認事項が紹介され了承された。
・S01期(2001年4月から2001年7月)に共同利用に供される夜数
は36夜である。
・CISCO、FOCAS、HDS、及びOHSは今期初めて共同利用に供される観測装置で
ある。従って、S00期同様に、共同利用観測もshared-risk 的な位置づけ
にある。
・夜数の最小割り当て単位は1夜であり、最大でも3夜までとする。
しかし、天候による影響を少なくするために1夜の割り当てが与えられた
観測も2夜にわたり、それぞれ0.5夜ずつ観測する方法も残すことにしたが、
具体的な割り当ては観測所に委ねられる。
・採択に当たっては夜数を調整することがある(例: 要求夜数が2夜でも
1夜にすることがある)。
・同じ内容のプロポーザルが複数のチームから提案されていた場合、それらを
マージさせることはしない。
2)プログラムの審議
a) 採択方針の審議
・分野別配分の方法:提出されたプロポーザル数或は要求夜数に比例して
配分するのが健全であることが了承された。S01期に関しては
いずれを目安にしても各カテゴリーに対する採択件数は下記のようになる。
採択夜数の目安
・ 1: Solar System: 3
・ 2: Stars & the Galaxy: 9
・ 3: Star Formation & ISM: 3
・4A: AGN & Quasars: 6
・5A: Evo. & Form. of Galaxies: 8
・5B: Cl. of Galaxies & Cosmo: 7
・外国枠については全体の10%以下が妥当であることが確認された。
・前回と同様、今回も、科学的意義を損なわない限り、夜数を調整して、出来
るだけ多くの課題に時間が割り当てられるようにすることにした。
・レフリー評価の点数化方式について:
S01期ではレフリーの方々にプロポーザルを採点基準に従い、5段階評価
方式で審査していただくことにした。
・レフリーと申請者の重複について:
S00期ではプロポーザルに申請者として含まれている場合はレフリーは
採点しないことを明記していたが、今回はその記述が欠落していたため、
混乱があった。今回はそれにあてはまる場合は、委員会で確認の上その
レフェリーの評点を削除することで対応した。また、次回からは再びその
ことを明記することにした。
・申請者への送付コメント作成の方針について:
レフリーコメントがある場合にはそれら全てを申請者に送付する。
無い場合は、特に採択されなかったプロポーザルの申請者には次回の申請に
役立つようなコメントを本小委員会から可能な限り送付することにした。
b) 採択プロポーザルの審議
・まず各カテゴリー毎にレフリーの評価に基づき、確実に採択してもよい
プロポーザルを選出した。この段階で約8割の夜数が確定した。
・この後で、さらに各カテゴリー毎にレフリーの評価に基づき、採択可能夜数
36夜になるようにプロポーザルを選出し、最終的な決定とした。尚、採択
件数は27件であった。以下に、カテゴリー及び装置毎の分布を示す。
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カテゴリー 採択件数 夜数 | CISCO OHS IRCS HDS FOCAS
-------------------------------------------------------------------
1: Solar System 3 3 | 0 0 2 1 0
2: Stars & the Galaxy: 7 9 | 0 0 1 7 1
3: Star Formation & ISM: 3 3 | 0 0 3 0 0
4A: AGN & Quasars: 5 6 | 0 1 3 0 2
5A: Evo. & Form. of Galaxies: 6 8 | 1 1 1 0 5
5B: Cl. of Galaxies & Cosmo: 3 7 | 3 0 0 2 2
-------------------------------------------------------------------
計 27 36 4 2 10 10 10
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3)まとめと今後の課題
・レベルの高いプロポーザルが多数提出されており、採択の決定はやはり難航
した。本委員会の日程を今回は2日間としたがそれでもぎりぎりの日程で
あった。
・技術審査については、その便宜をはかるために今回からプロポーザルの中で
独立したセクション(項目14に該当)を設けて申請者の方々に記入していた
だいた。しかし、申請者毎に書き方にバラエティがあり、必ずしも有効に利
用されなかった。今後は技術審査がさらにスムーズに行われるように、各装
置毎にチェック・シートを用意し、それに記入する方式を採ることで了解さ
れた。このことにより、サポート・サイエンティストはより客観的に技術審
査を行うことができる。
・観測スケジュール表は現在天文台のWEB上で公開されているが、印刷したもの
を代表的な研究機関に送付する方が望ましいという要望が出された。これは、
国立天文台ニュースには掲載されている。
・Target of Oppotunity (TOO)観測については今後とも観測所側で検討を進める
ことで了解された。
4)日本の天文コミュニティが待望していた、すばる望遠鏡の最初の共同利用観測が
順調に始まり、国立天文台及びハワイ観測所の方々に深く感謝の意を表したい。
特に献身的に観測を支援してくださっているサポート・サイエンティストの方々の
ご努力のおかげで共同利用観測がうまく運用されていることを銘記しておきたい。
また、多忙の中プロポーザルの審査をしてくださったレフリーの方々にも深く感謝
の意を表したい。