すばる望遠鏡プログラム小委員会(第2回) 議事録
日時: 2000年9月18日(月) 午前9時から午後6時(ハワイ時間)
場所: 国立天文台ハワイ観測所208号室
出席者(敬称略): 岡村定矩、長谷川哲夫、有本信雄、定金晃三、谷口義明、河合誠之、
田村元秀、渡部潤一(以上プログラム小委員会委員)、
安藤裕康、林正彦、山下卓也 (なお、山下は観測時間割り付けの
状況をチェックするために午後の一部だけ参加した)
安藤ハワイ観測所長より挨拶が述べられ、すばる望遠鏡の現況が説明された。
また、岡村委員長より、今回が初めての観測時間割り付け会議であり、
できるだけ一般的な見地から将来に良い布石を残せるように心掛けて
会議にのぞむよう、挨拶がなされた。
議事:
1)プログラム公募経過報告:
林よりプログラム公募の経過が報告された。
応募総数は114件(内訳: IRCS - 72件、 SUPRIME-CAM: 41件、
持ち込み装置 - 1件)で、総要求夜数は223夜であった。
カテゴリー別では以下のようになった。
課題数 夜数
・Solar System: 9 17
・Stars and the Galaxy: 17 31
・Star Formation and Interstellar Matter: 19 32
・External Galaxies and AGN: 46 94
・Structure Formation and Cosmology: 23 49
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計 114 223
プログラムの審議に先立ち、岡村委員長から下記の確認事項が紹介され了承された。
・S00期(2000年12月から2001年3月)に共同利用に
供される夜数は36夜を目安とする。
・共同利用観測もshared-risk 的な位置づけにある。
・夜数の最小割り当て単位は1夜であり、最大でも3夜までとする。
2)プログラムの審議
a) 採択方針の審議
・採択に当たっては夜数を調整することがある(例: 要求夜数が2夜でも
1夜にすることがある)ことが了承された。
・同じ内容のプロポーザルが複数のチームから提案されていた場合、
それらをマージさせることはしないこととした。
・分野別配分の方法: 提出されたプロポーザル数或は要求夜数に比例して
配分するのが健全であることが了承された。S00期に関しては
いずれを目安にしても各カテゴリーに対する採択件数は下記のようになる。
採択夜数の目安
・Solar System: 3
・Stars and the Galaxy: 5
・Star Formation and Interstellar Matter: 5
・External Galaxies and AGN: 15
・Structure Formation and Cosmology: 8
・外国枠については全体の10%以下が妥当であることが確認された。
・レフリー評価の点数化方式について:
S00期ではレフリーの方々にプロポーザルを採点基準に従い、以下のように
A、B、Cの3つのランクに分けていただいた。
A :上位25%
B :それ未満の上位50%
C :それ未満(即ち、下位の50%)
今回はA、B、Cの3つのランクにたいしてそれぞれ3点、2点、及び1点の
点数を与え、その平均点を各プロポーザルのスコアとした。
・レフリーと申請者の重複について:
5人のレフリーの内、2名が申請者と重複して、採点できないケースが
カテゴリー4にいくつか見受けられた。また、カテゴリー5では一人の
レフリーがそのカテゴリー中の半数以上のプロポーザルの申請者に
なっていた。これらは申請件数の多いカテゴリーに見受けられたことに
なるが、審査に大きな影響はないと判断された。
・GTOプログラムとの重複について:
観測装置開発チームの有するGTOプログラムとの重複があった場合は
原則としてGTOプログラムに優先権がある。しかし、GTOプログラム
及びその観測対象天体のリストは Call fo Proposal の段階で共同利用
観測の申請者に知らされていなければならないことが合意された。
S00期に限っていえば、GTO観測と共同利用観測が同時に走る形と
なっており、事前にGTOプログラム及びその観測対象天体のリストを
全て公表することが難しい場合があったことが理解されたが、基本的には
上記の合意に従って対処することとした。装置が増えてくるとこの問題は
極めて複雑になるので注意する必要がある。
・申請者への送付コメント作成の方針について:
レフリーコメントがある場合にはそれらを申請者に送付する。
無い場合は、特に採択されなかったプロポーザルの申請者には
次回の申請に役立つようなコメントを本小委員会から可能な限り送付する
ことにした。少なくとも、各カテゴリーごとに評点の分布を示すヒスト
グラム、採択境界点、及びそのプロポーザルの評点は知らせる。
b) 採択プロポーザルの審議
・まず各カテゴリー毎にレフリーの評価に基づき、確実に採択してもよい
プロポーザルを選出した。この段階で約6割の夜数が確定した。
・この後で、さらに各カテゴリー毎にレフリーの評価に基づき、採択可能
夜数36夜になるようにプロポーザルを選出し、最終的な決定とした。
3)まとめと今後の課題
・レベルの高いプロポーザルが多数提出されており、採択の決定は難航した。
次回以降はさらに採択件数の増加が予想されるので、本委員会の日程は
2日間とることもありうるだろう。
・レフリーの改選:
必要が認められるカテゴリーについては、レフリーの改選を行うことにした。
また、カテゴリー4は申請件数が多いのでレフリーを2群用意することを
検討する。
・同じような内容のプロポーザルでも異なるカテゴリーに申請されることが
あった。この傾向は特にカテゴリー4と5の間で顕著にみられた。原因と
してはカテゴリー5のキーワードに Formation and Evolution of Galaxies
が入っていたためではないかと推察されたので、次回からはこのキーワードを
カテゴリー5から削除することにした。
・レフリーの負担を増加させることなく採点表を改善する方策について、次々回
の共同利用に間に合うように、関係者で検討を行う事とした。
・プロポーザルの書式についても改善点の指摘があったので検討する。
・プロポーザル間でのターゲットの重複、すでに観測された天体のデータ
ベース化と検索(次回から必要になる)など審査に関連して必要なツールが
ある。観測所で作成の努力をする。
日本の天文コミュニティが待望していた、すばる望遠鏡の最初の共同利用観測が
始められる運びとなり、国立天文台及びハワイ観測所の方々に深く感謝の意を表
したい。また、多忙の中プロポーザルの審査をしてくださったレフリーの方々、
審査結果をまとめて見やすい資料を作成していただいた担当者の皆さんにも厚く
感謝する。