開発中のカメラ

全体構成

Hyper Suprime-Camは3つの要素で構成されます。

• カメラ部 (Camera)
• 補正レンズ (WFC)
• 主焦点ユニット(PFU)

カメラ部は左図で緑系の色で表示されている部分で、光を電気信号に変換するCCDセンサー・CCDを冷却する真空容器・CCDを読み出すエレクトロニクス・フィルター・シャッター・フィルター交換機構から構成されます。

補正レンズは赤系の色で表示されており、およそ16 m下に配置される主鏡が集めた光を補正してカメラ部に導きます。

主焦点ユニットは濃青系の色で示された部分で、カメラ部及び補正レンズを保持し、望遠鏡に取り付けるための機械部品です。カメラ部は上から、補正レンズは下から主焦点ユニットに組み付けられています。光軸の微調整を行う精密機械はここに組み込まれています。


断面図では説明用に色分けされていますが、HSCの外観はほぼ黒一色です。上図は実際に望遠鏡に取り付けたときの様子を示しています。(望遠鏡のCGデータは国立天文台の中山 弘敬氏より提供を受けました)



カメラ部

下部に見える丸い開口を持つ部品がシャッターで、その上に冷却デュワーが配置されます(多数のコネクターをもつ部分)。CCDエレクトロニクスや冷凍機等その他の制御部品は上部の黒い円筒部の中に封入されています。

CCDは国立天文台と浜松ホトニクスで新規に共同開発したもので、全波長域にわたり非常に高い感度を有することが特徴です。60 cmの焦点面に116個のCCDを配置しています。



補正レンズ

第一レンズの直径82 cm、長さが165 cm、重さ890 kg。石英硝子(米コーニング製)と2種の光学硝子(オハラ製)より構成されます。結像性能は0.2秒角(FWHM)と、この視野の光学系では世界最高性能が達成されています。



主焦点ユニット

フィルター交換装置が両脇に取り付けたれた主焦点ユニットです。主焦点ユニットの姿勢制御には、数トンの加重を1~2ミクロンの位置精度で制御できる、三菱電機で特別に開発されたアクチュエーター(6本のうち手前の2本が見えている)を使用しています。



データ解析システム

HSCのCCDは全体で8億7千万画素になりますが、この大きさの画像が数分に1枚のペースで取得されます。これらを正確かつ効率よく処理して科学研究に用いる天体データを引き出すため、専用の解析パイプライン(hscPipe)がユーザーに提供されています。


開発メンバー

この写真は2010年10月の国立天文台特別公開にて撮影したものです。


氏名 主な担当
宮崎 聡 CCD
小宮山 裕 真空冷却容器
中屋 秀彦 エレクトロニクス
鎌田 有紀子 CCD
土井 由行 機械系概念設計(現在はアドバイサー)
浜名 崇 シミュレーション・データ解析
唐牛 宏 フィルター(東大に移籍)
古澤 久德 データ解析
川野元 聡 システム設計・フィルター
諸隈 智貴 主鏡面検査装置・オートガイダー(東大に移籍)
石塚 由紀 秘書(東大に移籍)
成相 恭二 光学設計・評価
田中 陽子 光学設計・評価
浦口 史寛 フィルター交換装置・シャッター・望遠鏡改修
内海 洋輔 カメラ部制御
大渕 善之 真空冷却容器
大倉 悠貴 データ解析
大栗 真宗 データ解析(東大に移籍)
高田 唯史 データ解析 データベース
友野 大悟 望遠鏡改修
倉上 富夫 望遠鏡改修
並川 和人 望遠鏡改修
臼田 知史 望遠鏡改修
山野井 瞳 データ解析
寺居 剛 シミュレーション・データ解析
上清 初枝 秘書
山田 善彦 データ解析 データベース
小池 美知太郎 データ解析
   
相原 博昭(東大) エレクトロニクス・データ解析
藤森 裕輝(東大) エレクトロニクス
峯尾 聡吾(東大) エレクトロニクス・データ解析
宮武 広直(東大) エレクトロニクス
安田 直樹(東大) データ解析
西澤 淳(東大) データ解析
斎藤 智樹(東大) データ解析
   
田中 真伸(KEK) データ解析・エレクトロニクス
内田 智久(KEK) エレクトロニクス
片山 伸彦(KEK) データ解析(東大に移籍)
   
王 祥宇(ASIAA) フィルター交換装置・補正レンズ検査装置
陳 心躍(ASIAA) フィルター交換装置
   
Robert Lupton (プリンストン大) データ解析
Craig Loomis (プリンストン大) データ解析
Steve Bickerton (プリンストン大) データ解析
Paul Price (プリンストン大) データ解析
Jim Gunn (プリンストン大) 全般にわたるアドバイス

 


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