観測成果

世界で初めて太陽系外に「微惑星のリング」を発見
~若い惑星系の詳細をはじめて明らかに~

2004年10月15日

この記事は宇宙航空研究開発機構 JAXA のプレスリリースを転載したものです。
(転載元: http://www.isas.jaxa.jp/j/snews/2004/1007.shtml)


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イラスト: 神林 光二


  惑星系が生まれつつあると予想されている星の一つに、がか座 β 星があります。この星では、惑星は直接的には観測できませんが、生まれつつある惑星系から撒き散らされたと考えられる塵が大量にあって赤外線で光っています。今回、茨城大学 (宇宙研共同研究員)、宇宙航空研究開発機構、東京大学、国立天文台の研究者からなる研究チームは、国立天文台のすばる望遠鏡を使って、がか座 β 星の塵の観測を行いました。その結果、この星の周りに、リング状に塵を撒き散らしている場所があることがわかりました。ここには、微惑星 (惑星系が生まれる初期段階で惑星の種になったと思われる小天体) が、大量に輪になったベルト状に分布しており、互いに衝突しながら塵を撒き散らしているものと考えられます。このベルトは、我々の太陽系にある小惑星帯が、さらに混みあったようなものと想像されます。そこで研究チームではこのベルトを「微惑星帯」と名付けました。

  この研究成果は、世界で初めて、生まれつつある惑星系で塵が撒き散らされている場所を特定することに成功したもので、惑星系形成論に大きなインパクトを与えます。特に、今回の観測で微惑星帯があることがわかった領域は、太陽系でいえばちょうど惑星が存在するほど星に近い内側部分にあたり、これまで観測がとても難しかった場所です。もしかすると太陽系の初期にも同じような「微惑星帯」が存在し、激しい衝突を起こしていたのかもしれません。

  今後、惑星系が作られる初期で何が起こったのかを探って行く上で、今回の結果は大変重要な成果といえます。この論文は 2004年10月号のイギリスの科学誌 Nature に掲載されました.


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