観測成果

宇宙の宝石箱--わい小不規則型銀河 ろくぶんぎ座A

2004年2月23日


低解像度 (72 dpi, 103 KB)
中解像度 (200 dpi, 475 KB)
高解像度 (300 dpi, 657 KB)

天 体 名:
わい小不規則型銀河 ろくぶんぎ座A
使用望遠鏡: すばる望遠鏡 (有効口径8.2m)、主焦点
使用観測装置: 主焦点カメラ (Suprime-Cam)
フィルター: V (0.55μm)、R (0.65μm)、I (0.80μm)
カラー合成: 青(V)、 緑(R)、赤(I)
観測日時: 世界時2002年11月11日
露出時間: 35分 (V)、14分 (R)、24分 (I)
視野: 13.3分角x13.3分角
画像の向き: 上が北、左が東
位置: 赤経(J2000.0)= 10h 11m 1.3s、赤緯(J2000.0)= -4°42' 48" (ろくぶんぎ座)

 

 すばる望遠鏡の主焦点カメラ Suprime-Cam が、美しい色の銀河「ろくぶんぎ座A」をとらえました。「わい小不規則型銀河」に分類されるこの銀河は、地球から500万光年かなたにある銀河の集団「ポンプ座-ろくぶんぎ座銀河群」に属しています。地球から遠いように思えますが、銀河の中では40番目位の近さにあり、天の川銀河やアンドロメダ銀河などの集団 (局部銀河群) の隣に位置しています。

 楕円銀河や渦巻き銀河などと異なり、不規則な形をした小さい銀河を「わい小不規則型銀河」といいます。長期間にわたって星を生み続けていることが、わい小不規則型銀河の特徴です。ろくぶんぎ座Aもその例の一つで、質量は天の川銀河のわずか1000分の1しかありません。しかし内部には多量の中性水素ガスがあり、現在も活発に星の生成活動が行われています。すばるの主焦点カメラは、年齢の若い星 (青い星) から古い星 (赤い星)、さらに活発に星が生まれている HII領域 (緑色) が混在している様子をみごとにとらえることに成功しました。その姿は、色とりどりの宝石を漆黒の宇宙に散りばめたような、まさに「宇宙の宝石箱」と呼ぶにふさわしい銀河です。

 わい小不規則型銀河の多くは、銀河本体よりも大きく広がった中性水素ガスにくるまれています。ろくぶんぎ座Aも、この画像の範囲よりもはるかに広い領域に中性水素ガスが分布していることが電波望遠鏡の観測によりわかりました。しかしそのガスの起源や、ガスが銀河内の星生成活動に与える影響などは、いまだ謎に包まれています。ろくぶんぎ座Aを観測したハワイ観測所の小宮山裕さんらは、すばる望遠鏡の主焦点カメラを用いて、この謎を解明するための研究に現在取り組んでいます。

 

 

 

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