観測成果

AO がファーストライトを迎えました

2000年12月2日

 すばる望遠鏡の観測装置 波面補償光学装置 AO (Adaptive Optics) がファーストライトを迎えました。また AO を用いることにより、すばる望遠鏡の理論的限界に近い精度の画像が得られることが確認されました。

 マウナケア山頂のような観測地として優れた場所でも、地上からの観測により得られる画像は、大気のゆらぎの影響を受けて星の像が広がってしまいます。AO は、大気のゆらぎをモニターする波面センサーと、そのゆらぎ打ち消す可変形鏡からなります。AO を使用することにより、非常にシャープな星の像を得ることができます。11 月にすばる望遠鏡のカセグレン焦点に設置した AO に、近赤外線分光撮像装置 IRCS を取りつけ、12 月 1 日から 3 日まで試験観測が行われました。

 左の図は、AO の機能を使わずに、IRCS の撮像モードで捉えた恒星です。大気のゆらぎにより、恒星の姿は広がって見えます。右の図は、AO を動作させて撮影した同じ恒星です。中心にある明るい恒星が、明るくはっきりと捉えられています。AO を用いることにより、望遠鏡の分解能 (分解できる角度の限界) が左図の 0.33 秒角から右図の 0.07 秒角にまで改善されました。右の図では、観測している波長と主鏡の口径で決まる望遠鏡の理論的性能の限界 (回折限界) に、像がほぼ達していることを示す回折縞が恒星の周りに写っています。

 

 

IRCS による AO のファーストライトの画像

 

 

望遠鏡:すばる望遠鏡、カセグレン焦点
観測装置:AO + IRCS
観測日:2000 年 12 月 3 日
左図:AO-OFF、半値全幅 0.33 秒角 / 右図:AO-ON、半値全幅 0.073 秒角
観測波長: K (2.2µm)
ガイド星:α-And、 V2.1 等級 (ND フィルタ使用)
露出時間: 9 秒
視野:1.5 秒角 × 1.5 秒角
ピクセルスケール: 0.023 秒角/ピクセル

 

 

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