Suprime-Cam: 持ち込みフィルター受け入れについてのポリシー

  1. 共同利用において持ち込みフィルターを認める。
    1. 但し、観測所内での受け入れ態勢の整備のために準備期間を設ける。 この間は限られた枚数を受け付け、所員の訓練を兼ねて作業を行う。
    2. 所内の受け入れ体制が整備されたと判断されれば、一般に持ち込みフィルターを 受け付ける。この場合も、過度の集中があった場合には、すべて受け入れることが できない場合もある。
  2. フィルターの製作開始前にSuprime-Camのサポートアストロノマーに コンタクトすること。誰がどのようなフィルターを作るのか把握し、 すでに製作済、製作中のフィルターを 作ろうとしている場合などに重複を避けるためである。
  3. フィルターの性能評価はプログラム採択判断前に完了していなくてはならない。 共同利用提案者は、特に以下の条件に注意すること。
    1. 以下に記す機械的仕様 (Appendix A) を満たしていること。 またその実測データを提出すること。
    2. フィルターの光学特性評価が完了していること。 F/1.9での透過特性、光学的一様性 などの測定(三鷹で測定可能)を推奨する。 最低限、メーカーによる光学特性の実測データを提出すること。
    3. 共同利用提案者は、当該期の Call for Proposals (Suprime-Cam の 節)の記述に従って、3-i および 3-ii の情報をかならず観測所に提出すること。その際の宛先はCall for Proposals に示されたサポートアストロノマーとする。これらの情報が提出されない場合、提案が却下されることもあり得る。
    4. プログラム採択後、フィルターをすみやかに観測所に送付すること。
  4. Suprime-Cam は一連のランで10枚のフィルターしか使えず、 フィルターを装着し直すためには主焦点ユニットから装置を 取り外さないとならない。このような事情、またスケジューリング上の 都合から(持ち込みフィルターが受け入れられた場合でも) 希望する時期に希望するすべての持ち込みフィルターが 使えるとは限らない(特に数量が多い場合)。 (ここで言う持ち込みフィルターとは過去に持ち込みフィルターとして 受け入れたものも含む。)
  5. フィルター枠の準備、 フィルター枠への接着、フィルター交換機構での装着繰り返し試験、 この間のフィルターの保管はハワイ観測所で行う。 これらの作業はハワイ観測所の慣れたスタッフが慎重に行うが、 万一フィルターが破損した場合などはハワイ観測所、 そのスタッフは責任を負わない。
  6. 観測後は約一ヶ月後に返却が可能であるが、フィルターはフィルター枠に 接着されており、他の用途に転用することは難しいと思われるため、 ハワイ観測所に寄付することを歓迎する。 観測所に寄付されたフィルターは一般公開される。

  1. フィルターの仕様
    1. 大きさ: (205.0 +/- 0.5)mm x (170.0 +/- 0.5)mm x (15.0 +/- 0.2)mm @0 deg C。 205×170の面の四隅は面取り C5〜C8 mm が必要。 205×170 の表面と裏面の平行からのずれは 1 分以内 [上図参照]。
    2. 必要開口: フィルター全体の中心を中心として 192 mm × 158 mm の範囲 である。従って、この範囲はフィルターの透過率特性が(仕様の範囲で) 一様であること。
    3. フィルターの縁の干渉膜の蒸着等がなされていない部分は迷光の原因になる。 この部分は枠の貼付け時にゴムで目張りをするが、あまりに広い場合は目張りが 困難になるので、最低、縁から 3 mm のところまでは、干渉膜の蒸着等、 フィルターとしての処理がなされていること。
    4. フィルターは側面(205×170の面ではない面)を使って フィルター枠に接着する。 接着力を増すために側面はすりガラス状になっていること。
  2. フィルター製作の際の注意点
    1. 反射防止膜が施されていること。
    2. アルコールで拭いても表面のコーティングが落ちないこと。
    3. 摂氏 -10 度での使用に耐えること。
    4. フィルター面と主焦点補正系の間でゴーストが生じやすいことがわかっている。 ゴーストは反射率の高い(例えば干渉膜を使った)面が補正系側に来ている時 顕著となる。フィルター製作にあたってはできるだけ補正系側の面の反射率を 落とすようにし、基板には色ガラスを使用して不要な光をできるだけ 吸収する設計とすることが望ましい。
    5. 湿度の変化によって透過率が変化する干渉膜貼り付け法があるので事前に 製造会社に問い合わせるなど注意が必要である。


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