HSCプロジェクト

背景と研究の狙い

すばる望遠鏡には主鏡の上約15 mの位置に「主焦点(Prime Focus)」があります。ここでは満月一個分の広さの天域を一度に撮影することが可能です。私たちのグループはここに搭載する主焦点カメラ「Suprime-Cam」を1999年に開発しました。すばる望遠鏡の高い結像性能のおかげで、視野の隅々までシャープな天体画像を得ることができます。大口径・広視野・高解像度の特性を合わせ持つ望遠鏡はすばるの他になく、Suprime-Camを使って数多くの新しい発見がなされました。

Suprime-Camが稼働開始してからおよそ10年が経ちましたが、この間初期宇宙天体の形成などの理解が進んできました。また、ダークエネルギー等新たな謎が人々の注目を集めるようになってきました。詳細に検討をすると、これらの研究を一段と進めるためには、Suprime-Camの能力では足りないことが分かってきました。

一方、産業界において半導体技術や大型光学系の加工技術の進歩があり、より大型のカメラを作るための要素技術が整いつつありました。そこで我々は、Suprime-Camの7倍の視野を持つHyper Suprime-Camの開発を2002年に開始しました。

歴史

年度 進捗 予算・組織 人数 機関
2002 新補正レンズの検討 すばるR&D経費(宮崎+) 3 1
2003~ CCD開発・機械系概念設計 科研費基盤B(宮崎+) 6 1
2005   台湾中央研究院参加 10 2
2006~ CCD量産・レンズ・機械系詳細設計 科研費特定領域(唐牛+) 33 4
2007   プリンストン大学参加 ~40 5
2008   国立天文台HSCサブプロジェクト発足 ~40 5
2009 デザインレビュー   ~40 5
2010~   最先端研究(村山+) ~40 5
2011

補正レンズ・新主焦点ユニット完成
カメラユニット完成
  ~40 5
2012

ハワイ・マウナケア山頂へ輸送
望遠鏡搭載試験
     
2013 ファースト・ライト      
2014 共同利用観測開始      
HSCプロジェクトの歴史

 

開発推進体制

機関・会社 担当
国立天文台

統括・全体設計・真空デュワー・CCD・CCD読み出しエレクトロニクス・シャッター・フィルター・主鏡鏡面検査装置・望遠鏡搭載モニター・データ解析

東京大学 (IPMU、理学部物理学教室) CCD用エレクトロニクス、データ解析
高エネルギー加速器研究機構(KEK) CCD用エレクトロニクス、データ解析
台湾中央研究院天文及天文物理研究所(ASIAA) フィルター交換機構・補正レンズ検査装置
米国プリンストン大学 データ解析
   
浜松ホトニクス CCD
キヤノン 補正レンズ
三菱電機 主焦点ユニット・望遠鏡改修

サーベイ計画立案に参加している研究者の所属機関
国立天文台・東京大学・名古屋大学・東北大学・KEK・ASIAA・プリンストン大学・愛媛大学・京都大学・宇宙科学研究所・甲南大学・台湾中央大学・長崎大学・鹿児島大学・信州大学・東京学芸大学


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