
より遠くを見よう。もっと多くを知ろう。人類を今日の存在にまでおしあげたものは、そうした果てしなく続く夢でした。この衝動に駆られて人類は地平線を超え、水平線のかなたへ乗り出して、宇宙に足跡を残すまでになりました。
現在の天文学は、エレクトロニクスをはじめとする最新の技術を動員して、いまや130億光年の彼方を観測し、膨張開始から間もない宇宙のあけぼのの時代をとらえようとしています。しかし、ふりかえってみるならば、人類はいつの時代にも可能なかぎり最高の技術を集め、見えるかぎりの宇宙を観ようと、その時代の驚異ともなった新しい装置を作り出してきたのです。石器時代の天文学といわれるストーンヘンジ、マヤの比類ない暦の技術、古代中国の巨大で精密な圭表(ノーモン)などは、まさに各時代の技術の頂点であったに違いありません。天動説をくつがえす高精度のデータを生み出したティコの壁面四分儀や、銀河系の概念をもたらしたハーシェルの反射望遠鏡など、遠く深い宇宙の理解を目指す人類の歩みは、途絶えることがありませんでした。
これらの技術への挑戦を時代ごとに積み重ねて、現代の私たちは目も眩むような広大な宇宙を手に入れました。無数の恒星が生まれ、飛散し、渦巻く銀河は群れて衝突し、そして全体として急激な膨張を続ける、果てしなく変化し続ける宇宙です。
私たちは、この人類全体の夢の遺産を受け継いで、さらにはるかな宇宙へと船出をしようと、すばる望遠鏡を建設しました。すばる望遠鏡は、最初の銀河が生まれるつつある現場をとらえ、膨張し続ける宇宙の起源と歴史の全体像の把握に迫るでしょう。また、太陽系以外の惑星系を観測し、宇宙での生命の可能性を探るのです。
より遠く、詳しく宇宙を観ること。もっと広く、深く自然を理解すること。宇宙における私たち人類の位置を明らかにしようとする夢に、私たちも挑戦します。